朝の職員室、勤務時間前だというのに電話が鳴り欠席連絡を受ける。連絡メモを担任の机上に置くと別の電話が鳴っている・・・。
コロナやインフルエンザが流行ると、たくさんの電話に対応する必要があります。回線がパンクし、つながらないとお叱りを受けることもあります。
スマホからの欠席連絡を送信し、職員が共有できるシステムを作ればお互いの悩みを解決することができます。
この記事では、その方法を簡単な機能に絞って説明します。
欠席連絡システムの作り方
概要
Microsoft365の Forms、Power Automate、Teamsを連携させて実現します。
予め示してあるQRコードからFormsにアクセスして、必要事項を入力・送信するとPower Automateが処理をしてTeamsのチャネルに投稿してくれるという仕組みです。
それぞれのアプリへのアクセス方法です。ブラウザでMicrosoftのスタートページを開くと、左上に3✕3の点々があります。それをクリックすると、アプリの一覧が表示されます。
Teamsの設定
Teamsで職員が所属するチームを作ります。
「チームに参加/チームを作成」から「チーム作成」「プロフェッショナル・・・」とクリックしていくとチームが作成されます。
「3点リーダ」から「チャネルを追加」で欠席連絡が投稿されるチャネルを作成します。ここでは、「欠席連絡(1年)」というチャネルを作成しました。
学年ごとにチャネルを作成した方が整理されてみやすくなります。
Formsの設定
新規作成、タイトル
FormsでQRコードから連絡を入力・送信することができるフォームを作ります。
「新しいフォーム」をクリックすると新規作成画面が開きます。
一番上の「無題のフォーム」をクリックするとタイトル部分が編集できます。スマホ等でアクセスしたときに一番上に表示されるものです。
ここでは以下のように入力しました。
欠席遅刻連絡(1年生)
○○学校
当日の朝8:20までに送信してください。
各設問を作成
各設問を作ります。「+新規挿入」から「◎選択肢」をクリックします。
ここでは以下のように入力しました。
欠席(1日)・遅刻(8:30以降登校)のどれですか。
○ 欠席(1日)
○ 遅刻
その設問に必ず回答してほしければ、必須にスライドさせておいてください。必須問題に回答していないと最後に送信することができません。
プレビュー
画面右上の「プレビュー」「携帯電話/タブレット」の順にクリックします。スマホでフォームを開いたときのイメージをプレビューすることができます。
「欠席or遅刻」以外にも「理由」「クラス」「名前」「連絡者」「その他」を設問に加えました。
QRコード
次にアクセスするQRコードを作成します。画面右上の「回答を収集」をクリックしてください。
すべてのユーザが回答可能をチェックしてください。こちらを選択すると組織内の特定のユーザでなくても(保護者等)送信することができます。
QRコードのアイコンをクリックするとQRコードをダウンロードすることができます。
手持ちのスマートフォン等でQRコードよりアクセス・回答して、「応答」に丸数字で回答数が表示されれば正常に機能しています。
Power Automateの設定
Formsで送信されたデータをTeamsのチャネルに投稿するために、Power Automateの設定をします。
「+作成」をクリックして画面右側のエリアを下へスクロールします。「コネクタから始める」の項目の中に、Microsoft Formsのアイコンがあるのでクリックしてください。
第1ステップ
「新しい応答が送信されるとき」をクリックします。
次の画面で「フォームを選択します。」をクリックすると、Formsで作成した欠席連絡のフォーム名が出てくるので、それを選択します。「+新しいステップ」をクリックします。
第2ステップ
検索窓で「forms」と入力すると、「応答の詳細を取得する」というアクションが表示されるのでそれをクリックしてください。
「フォームID」欄で作成したフォームの名前を選択します。
そして「応答ID」欄をクリック動的なコンテンツにある「応答ID」を選択します。
「+新しいステップ」をクリックします。
第3ステップ
Teamsの投稿欄にどう投稿するか設定します。
検索窓に「投稿」と入力すると、「チャットまたはチャネル・・・」というアクションが表示されるのでそれをクリックしてください。
・投稿者に「フローボット」
・投稿先に「Channel」
・Teamに投稿させたいチーム名、ここでは「先生チーム」
・Channelに投稿させたいチャネル名、ここでは「欠席連絡(1年)」
をそれぞれ選択してください。
Messageの欄をクリックして「式」の fx の欄に以下のように入力して「OK」をクリックしてください。以下をコピペしてください。
convertTimeZone(utcNow(), ‘UTC’, ‘Tokyo Standard Time’,’yyyy/MM/dd HH:mm:ss’)
詳細説明は省きますが、システム内では世界標準時なので、投稿時間を日本時間(24時間)で表示しています。
「動的なコンテンツ」にフォームで回答される項目が並んでいます。必要なものを選択しながら、投稿時間に続く、具体的に投稿される文面を作成します。
例えば、上の図のようにMessage欄を作成すると、Teamsでは以下のような表示になります。
全て完成したら「保存」をクリックしてください。
学年ごとのチャネル
学年ごとで投稿チャネルを分けると見やすくなります。同じチーム内にチャネル「欠席連絡(2年)」「欠席連絡(3年)」を作成しましょう。
次に、Formsを起動し、1年生用のフォームを元に、2年生用のフォームを作ります。
1年生用で作成したフォームの3点リーダから「コピー」をクリックします。「欠席連絡(1年生)○○学校 (2)」というフォームができるのでそれをクリックして編集します。
タイトルとクラス名を2年生仕様に変えてください。QRコードも1年生とは別に作成してください。
そして、Power Automateを起動し、1年生用のフローを元に、2年生用のフローを作ります。
「マイフロー」から、先程作成した「欠席連絡(1年)」のフローの3点リーダより「名前を付けて保存」をクリックします。
新しいフロー名を「欠席連絡(2年)」として「保存」クリックします。
新しく名前を付けたフローを編集します。それぞれのステップの「1年生」部分を「2年生」に選択しなおして下さい。チャネルやフォームを作った直後は、選択肢にないかもしれないので時間をおいて試してください。
保存してフロー一覧に戻ります。作成したフォームの3点リーダから「オンにする」を選択して下しさい。こうすることでTeamsチャネルに投稿されます。動作確認して下さい。
同様に3年生用も作成してください。
あとは、それぞれの学年のQRコードやリンクを保護者に示すだけです。
同時に使用ルールも示しておきましょう。例えば以下のようなものです。
- 朝8:20までに送信する。
- 全職員が見られるので、過度な個人情報は入力しない。
- 定期考査のときは直接電話で連絡する。 等
実際に使ってみて
どれくらい効果があったか
目に見えて朝の電話連絡が激減しました。職員室が静かになり、集中して朝の準備をすすめることができています。
コロナワクチンの副作用による欠席連絡が重なったときはとても効果を発揮しました。これを電話で受けていたかもしれないと想像するだけでゾッとします。
電話の受け手だけでなく、掛け手の負担も軽減されたのではないかと思います。朝の忙しい時間帯は保護者も同じなので、スマートフォンで連絡を送れることは双方にとってメリットがあると言えます。
苦労したこと
従来の仕組みを変えるときは、たいてい反対する人が現れます。その中で一番多かった意見が「なりすまし」です。
保護者の同意なく本人が欠席の連絡をしたり、第三者が勝手に送信したりする可能性があるという懸念があったものの、導入当初は授業後に折返し連絡を行うことで問題はほとんど発生しませんでした。
利便性を実感できたとおもわれます。新しいシステムの浸透には時間がかかりませんでした。
また、上司が導入に後ろ向きの場合、その説得に苦労します。導入に前向きならばすぐにでも始められるでしょう。
おわりに
オンライン欠席連絡を導入したい、という方にとって、この記事が参考になれば幸いです。
私自身こういった知識はほとんどありませんでした。Power Automateとは何か?というレベルから何とか仕上げることができました。
しかし、こういったシステム構築まで教員の仕事なのか疑問に感じます。
いつまでも定額働かせ放題ではなく、ICT専門家の各校常駐や、ICT担当教員への正当な報酬の支払い等、教育にもっとお金をかけてほしいものですね。本来の授業準備に一番時間を割ければありがたいです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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