民間で会社員経験のある先生がこんなことを言っていました。
「学校の先生って、複数の会社に同時に勤めているみたいですね。」
この言葉がどのような意味を持つのか。「企業内での会社員」と「学校内での教員」この2つの組織内での位置づけについて、教員視点でまとめてみました。
会社員の場合
会社員でも教員でも、たいていは何人かでグループを作って仕事をしています。
会社員の場合、総務部、営業部、経理部、人事部、・・・等。さらにその部署でプロジェクトごとにチームがあったりします。基本的に1人1部署です。
教員の場合
校務分掌
会社員同様、様々な部署があります。例えば以下のようなものがあります。
- 総務部・・・式典、PTA等
- 教務部・・・入試、授業、成績等
- 生徒指導部・・・生活指導、アルバイト等
- 進路指導部・・・進路先の斡旋等
この他にも、学校の状況に合わせて様々な部署があります。この部署のことを校務分掌ということもあります。
学年分掌・教科
ここで、担任の仕事はどの分掌なのか疑問に持つ方もいらっしゃるでしょう。
担任業務はどの分掌にも当てはまりません。この分掌とは別に全員が1年部、2年部、3年部といった分掌(学年)に別で振り分けられています。
さらに、これとは別に「国語科」「数学科」「英語科」「社会科」「理科」のような教科で分かれています。これは採用試験で受験した教科で割り振られています。
部活動
そしてさらに、これとは別に、部活動の顧問が割り振られています。
しかも、1人1部活動ではなく複数の部活動が割り振られています。例えば、ある先生はバスケ部の主顧問で合唱部の第2顧問でもあり、茶道部の第3顧問といった具合です。
複数の会社に同時に勤めている?
つまり学校の中には、(株)校務分掌、(株)学年、(株)教科、(株)部活動の複数の会社が存在し、それぞれの会社に全教員が勤めているのです。
1人の教員の視点では、
・(株)校務分掌で「教務部」
・(株)学年で「2年部」
・(株)教科で「数学科」
・(株)部活動で「バスケ部主」「合唱部第2」「茶道部第3」
に同時に属しています、といった感じです。どの「会社」でも全て同じ部署に属している同僚は、ほぼいません。
全ての役割が入り混じっているので、例えば、夕方に同じ教科の人で集まって授業の打ち合わせをしたいというときは、第2顧問に部活動を見てもらう等の調整が必要となります。
時間割のやりくり
教員は、1時間目、2時間目と時限のブロック単位で動いています。このブロックを調整して、授業時間内に打ち合わせができる工夫がされています。
これは、中学校や高等学校などの教科担任制を敷いている学校の話です。小学校は基本全部の時間が授業なので、打ち合わせは授業がすべて終わってからになります。
また、最近は育児短時間勤務等で来られる時限が制限されていたり、再雇用制度で週2,3日勤務の職員がいたりして時間割の作成が困難になっています。
どの学校にも時間割を作れる職人みたいな教員がいて、年度の始めに頑張って作っています。しかし昨今、教員のなり手が不足しており、技術の継承が困難な状況が続いています。
おわりに
今回は、学校の現状の一例を紹介しました。
担任業務につく教員は校務分掌を持たない等、状況の違う学校もあります。
また、会社員も大変なことはたくさんあると思います。教員視点で書いていますので、この点もご了承ください。
今回の記事が参考になれば幸いです。最後までご覧いただきありがとうございました。
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